『走ることについて語るときに僕の語ること』

『羊をめぐる冒険』『ノルウェイの森』の村上春樹のエッセイが発売されました。

走ることについて語るときに僕の語ること

1982年の秋、『羊をめぐる冒険』を書き上げたあと、村上春樹は専業小説家になったが、体力維持のためにランナーにもなった。それから25年、毎日10kmを走り、フル・マラソンを25回完走したとのことです。
こんなにストイックな人とは知りませんでした。

この本は「走る」という行為を媒介に、自分という人間について正直に書いたメモワールだそうです。
私は村上春樹の生き方に大共感しました。

本文中の素晴らしいフレーズを引用します。

「走ることは、・・・昨日の自分をわずかにでも乗り越えていくこと、それがより重要なのだ。長距離走において勝つべき相手がいるとすれば、それは過去の自分自身なのだから。」

「太りやすい体質に生まれたことは、かえって幸運だったのかもしれない。・・・毎日ハードに運動をし、食事に留意し、節制しなければならない。しんどい人生だ。しかしそのような努力を怠りなく続けていると、代謝が高い水準で保たれ、結果的には身体的に健康になり、頑丈になっていく。」

僕は誰かに勧められたり、求められたりして小説家になったわけではない。思うところがあって勝手に小説家になった。それと同じように、人は誰かに勧められてランナーにはならない、人は基本的には、なるべくしてランナーになるのだ。

（サロマ湖100キロウルトラマラソンの終盤で）

「僕は人間ではない。機械だから、何を感じる必要もない。前に進むだけだ。」その言葉を頭の中でマントラのように、何度も何度も繰り返した。

「リスキーなものを進んで引き受け、それをなんとか乗り越えていくだけの力が、自分の中にもまだあったんだ」という個人的な喜びであり、安堵だった。

勇敢な『ロッキーのテーマ』とともに、華麗な夕日の中にクールに歩き去ってしまいたい。

格好良すぎますね！

私は駆け出しのサラリーマン・ランナーですが「村上春樹」を当面の目標にしたいと思います。

ちなみに、皆さんの脈拍数はいくつですか？　これでランナー度がわかるそうです。
村上春樹は50、高橋尚子が35です。私は残念ながら59、微妙です。

この本は彼の小説みたいに難しくないので、ぜひ読んでみてください。